公認心理師えすえむさん

心理と趣味と思うこと

論文読み合わせの会

 

 

心理クラスタ界隈のメンバーで構成された論文読み合わせの会第1回が無事に終わりました。

 

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今回の論文は

「広い視点を身につけた精神科リハビリテーションの人材育成について : 東京大学医学部附属病院精神科デイホスピタルにおける「精神保健・臨床心理デイケア研修プログラム」の紹介 (特集 精神科デイケアと評価)」

でした。

 

論文を読んで感想を共有し合う大変フランクな会です。

 

感想の公開許可を頂いたものを載せさせていただきます。

コピペはご遠慮くださいませ。

 

 

香桑さん

Twitter@AilesLibres

さすが、東大病院……という感想しか出てこなくって。丁寧な研修システムを構築されている印象ですし、ここまでしないとそりゃあすぐに現場で使える人材には育つわけがないとも思います。心理面接の多くは密室化してしまいますから、デイケアというオープンな場を舞台に研修を組むのは、目配りができてよいなぁと納得です。

 


私はデイケアの経験がない心理職です。小さなクリニックなので、グループ自体がないのです。

ですから、自分自身の体験ではなく、私の主催するの勉強会に来てくれる同業の若手さんで、就職一年目に病院のデイケアに配属されて、研修もSVも引き継ぎすらろくにないまま、泣きながらやっている姿を思い出しながら読みました。

彼らからしたら、なんとも羨ましくなるような手厚さであろうなぁと思います。と同時に、これだけのマンパワーをかけられない、コストをかけられない民間病院側の事情もわかるので、ちょっと複雑……。

これだけの研修を提供できるようにするには、どうマネジメントしていけばよいのか、考えたくなりました。

 


上司として数名の成長を見守らせていただいてきたのですが、心理士が使い物になるのは3年目から、と、考えるようになりました。

職場ごとのやり方(カルテの書き方やスタッフとの連携等々)だけではなく、新卒の方を採用した場合、任せられるようになるのは3年目からと考え、そのことを伝えてもいます。

就職したその日からベテランと同じように働けるわけがないですし、教える側も教えられる側も、そう考えるほうが変に焦らずにすむ気がしています。

 


それなら、その2年間でしてもらうことといったら、最初は先輩心理士の面接の陪席から。

インテーク(心理士同士の振り返りやカルテの書き方の見直し+本診後の医師とのカンファ)。院長の赤ペン先生ぶりに、書き方を鍛えてもらいます。(^^;

アセスメントは、メンター役が最初はつききりで所見を一緒に書いたり、何度でも相談に乗ります。3年ぐらいは、メンターと私(一応、主任)のダブルチェックをしてから、ようやく医師に提出です。

レギュラー面接は、なるべく健康度が高く、できれば本人より年下のクライアントということで、中高生のケースから持たせることが多いです。アクティングが少なく、おにーさんおねーさん役割を取りながら仲良くなることを目標に。そこから、本人の性格、興味、オリエンテーションなどを話し合いながら、少しずつ、難しめのケースを割り振るよう、私と医師で調整します。レギュラー面接についても、医師とのカンファはしますし、いつでも先輩心理士に相談してよい空気を作るように心がけています。

 

ぼちをさん

@bochiwopt1

何よりもまず「これが実習の在り方ですよね(ˇωˇ )」って思いました。それと同時に新人あるあるのような新卒の壁に早期に衝突し、その点を現場のSVが解消出来るシステムも混じっていて、臨床での即戦力(臨床能力というより社会人としての働き方や客観視に強い人)になれるのではないかと感じました。それもこれもクリニカルクラークシップが導入されている昨今ならではの考え方かなと。

 


東大病院の規模もあってのことですが色々な分野に触れる講義や実技、見学を実習地がしている点も非常に素敵でした!デイケアだけの話ではなく、多くの精神科医療を見学・体験出来るこのスタイルはなかなかできるものではないと思います。他の実習地だとどうなのでしょう?

 


私が学生の時に行った病院実習で、急性期や回復期や外来などのいわゆるリハビリ室のリハビリだけではなく、訪問リハビリの見学同行、家屋調査の同行、通所併設なのでデイケアの見学など本来の実習以外にも多くの視点を持てるような実習にして貰えたからこそ、就職する時に「この分野で働きたい」と思えました。

 


そういう実習体制を学校側も実習地側も理解して、このシステムが増えて欲しいと切実に思いました。大学院ならではのこのシステムがOTの精神科領域希望の子に適用されたらいいけど、履修の関係で難しいのがリハビリ領域の課題と捉えました。うーん…この良さを分かって貰わねば…。

 

 

 

忠犬さん

@taas0519

 


充実したプログラム…素晴らしい、というより羨ましいというところが素直な感想。

入職してから覚えていかなければならないことが学部生で学べる、本当に羨ましい。

書かれているシステムであれば疑問、悩んだことを持ち帰らずSVに繋げられることが可能でしょうね。その分理解は上がると思います。

実習生を見ていると一旦持ち帰って時間をかけると妙な自己判断、自己完結をしてしまう学生さんを目にします。

働き出してからだと尚更SVに繋げられないままのことも多い。

このプログラムだとその時間を無駄にせずにすむなと。

感服したのはメンバー研修の意図が非常に明瞭で以後の研修に確実に繋がる構成になっていること。これって凄く大事な部分だと思っていて、思っているのに新人研修のプログラムで上手く連続させられない部分です。患者体験ってものではなかなか伝えにくい部分なんですよね。すごく参考になります。

 


ここまでの研修を行うにはマンパワーとコストもかかるでしょうね…

新人研修のカリキュラムに反映させられる部分は?と読み込んでいました。

理想的な研修って漠然と頭の中には浮かびますが、この報告はそれを具現化してくれました(もっとも僕の理想はここまで高尚ではありませんでしたが笑)

 


非常に勉強になりました。ありがとうございました。

 

 

 

itさん

@_nico012345

 


1990年からの研修!すごいですね。でも、組織の中の人員を育てるというより研修事業のような感じですかね?前提はちょっと違うかもしれません。皆さん仰る通り、自分のところの職員に対するOJTはなかなか体系化されてないところが多そうですね。

読んでいて思ったのは、とにかく業務内容や必要なスキル、経験がはっきりと言語化されてるなぁということ(抽象的なところもありますが、どんな状態が目標なのかが明確)。それからSST講習や講義など具体的に学ぶための材料が豊富。目標が定まっていたら何をしていけば良いかも明確になるし、必要な材料をそろえていける。まぁ一朝一夕にはできないけれど、まず自分達がやっていることを言語化して整理しなきゃ必要な教育もできないなと思いました。

 


色々書いていて思いましたが私は人を育てるというのに関心があるようで、というのも昔の職場で自分がとても大事に育てられた経験があって、そのような環境を次の人達に提供していきたいと思っているんですね。後輩達にはとても丁寧に対応したんで今でも感謝されているんですが、仕組みを整えるところまではできずに退職したため、その後に入った方の教育に後輩達が苦労していたので、自分1人が気をつけなければというよりはシステム自体を整えたいというか。

でも転職やキャリアアップが前提で、経験者が常勤についていく心理業界では完全なる新卒を育てるという感覚は少ないのかもしれないなとちょっと思いました。それに業務内容を言語化して整理していくには職種の業務自体をある程度発展させて固定化しなければいけませんし、職員の流動性が高い状況ではそこまで考える余力がないかもと自分の経験からも思います。

まぁ大学病院のように研修や教育に力を注いでいる組織であれば、もしかしたら職員が流動的でもトップダウンでこのような形の研修システムを構築することは可能なのかもしれませんが。

 


雑感ですがこんな感想でした。

 

 

 

 


まい*まいさん

@maykyo95


読んでみて、すっごい充実しててすごいなぁというのと、いやいや、実際こんなん出来ちゃうの?という疑問でした。というのもいくつもの仕事現場を経験しましたが、どこにもこのような教育、研修のシステムに出会えていません。

ここまで丁寧なシステムは難しいとは思いますが、『目で見て、背中を見て盗め』的なとこばかりだったなぁと読みながら思い出しました。

マンパワーはかなり必要になるなと思いますが、ここまで徹底できると、新人さんにとっても安心できるし、どこで苦戦してるのかとかもお互いがその場でキャッチしやすいんだろうなと思います。まさに今後輩育成が職場の課題で。どうすれば伝えていけるのか。伝わるのか。

現実と織り混ぜながら参考にできればと思います。

とても勉強になるのと、新人さんを迎える側の体制についてもヒントをいただけました。

 

 

 

えすえむ

@smsanpsycho

私が新卒で入った職場でもこういう研修が出来れば良かったなぁと羨ましさで一杯です。

机上の知識だけでは太刀打ち出来ない精神科デイケアの複雑さというか、どうすれば良いのか?どう居ればいいのか?という不安感をしっかりとSVや職員と共有していける研修プログラムには凄いの一言です。

2年間という長いようで短い期間でこれだけ段階を追って臨床活動に求められる臨床的な視点や社会復帰を見据えたソーシャルワーカー的な視点を養える事は何物にも代えられないのではないかと思いました。

いやぁすごい…

 

 

私の感想の薄さ…笑

他の皆様の感想に圧倒されまして、うまく表現が出来ませんでした( ⸝⸝⸝˙~˙⸝⸝⸝ )←

 

現在、2本目の論文の読み合わせも始まっております。

 

 

ご興味ある方はえすえむまで