公認心理師えすえむさん

心理と趣味と思うこと

残念ながら

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残念なことにお腹は減ってしまう。

 

生きていればお腹は減ってしまう。

 

「朝はバナナだけにしよう」

そんなちっぽけな反抗とは裏腹にお腹は減ってしまう。

 

「腹八分にしておこう」

そんな絵空事、香ばしいにおいと綺麗な焼き目の前では無力だ。

 

「彼の前では少食のレディでいたい」

そんな僅かな願いは彼の

「沢山食べる女性が好きなんだ」という一言で藁で作った家のように吹き飛んでいく。

 

「どうせ1人だ」

尾崎放哉は言った「咳をしても1人」

1人で食べる食事はいつしか寂しさを帯び、美味しさが薄れる。

 

「これ美味しいね」

彼女は言う。頼みすぎた料理はそう長くない間に2人の愛のように熱を失っていく。

僕は熱を失った何かを口に詰め込んでいくんだ。

 

「もっと一緒に美味しい物食べたかった」

君が知らない誰かに奪われた。

さっきまで笑っていたのに。

インターホンに映るのは君ではなく、大勢の記者たち。

残ったのは悲しみと、冷えた料理だけなんだ。