酒場を放浪する公認心理師パート②
『先日助けていただいたシメ鯖です』
突然私のところにシメ鯖がやってきた
心当たりはないのかって?
そりゃありますとも
この間ね、管理してる畑に行ったら、シメ鯖がイノシシの罠に掛かっていたんです
悲しそうな目をしてたんでね、助けて逃してあげたんですよ
え?なんでそんな話があったのに教えてくれなかったのって?
そりゃあまぁ聞かれなかったから…
それにね、畑でシメ鯖を助けたなんて言ってごらんなさいよ
『あぁ、この人はどこかで頭でもぶつけたんだろう…可哀想に…』
となるに決まってるでしょ
鶴ならまだしもシメ鯖ですもの、お伽話の世界じゃないんだから
それで、話の続きなんだけども、そのシメ鯖が自分を食べてくれって言うんですよ
あなただったらどうします?そうですよね、悩みますよね?
一度助けたシメ鯖ですから、情もわいて当然でしょう?
結局どうしたのかって?
そりゃ食べましたとも、食べるに決まってます
何が残酷なんですか!
勇気を振り絞って食べてもらいに来たシメ鯖を追い返すですって?
背中の傷は剣士の恥と言うでしょう?
お魚食べぬは飲み助の損ですから!
美味しく頂きますよそりゃ!
生姜でもわさびでも好きな方を付けて、なんなら付けなくてもいいし、両方つけてもいいですし
醤油がまた美味いのなんの…
炙りたてだと香ばしさも出てそりゃあ美味い
ふわぁっと香る脂とジューシーさ…
今度畑でシメ鯖が罠に掛かってたらどうするかって?
そりゃあ助けますよ
その場で食べれるようにお酒も持って行きましょうかね