君はエリマキトカゲ
僕は社会人になった。
ようやくモラトリアムから解き放たれ、その技量を発揮する時が来た。
仕事は楽しいことばかりではない。
上司に教えを請いながら、怖い看護師長に怒られ、ビクビクしながら病棟を行き来する。
僕らは何でも屋さん。
保険診療が取れない僕らは出来る事はやって、他に何でも出来る事はやるんだ。
「レクリエーション出来ますか?」
出来ます。
「当直出来ますか?」
出来ます。
「デイケアで働いてもらえますか?」
はい、働きます。
出来る事は何でもやった。
出来なかったピアノもコードを覚えたし、将棋も覚えた。僕は聴診器で血圧を測ることも出来るようになった。
月に一度は地元に戻ったり、彼女が来たり、いつのまにか彼女は「彼女」になっていた。
けじめだ。と就職を期に告白をした。
答えは勿論オッケーだった。
to be continue...
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