君はエリマキトカゲ
それから5年が経った。
私は色々あって職を転々としていた。
月に3万円の奨学金の返済。
引かれる保険料。貰えないだろう国民年金。
とてもたっぷり貯金が出来る状況ではなかった。
彼女は結婚に憧れていた。
盛大な結婚式ではない。
仲の良い友人を招いての結婚式。
複雑な家庭に生まれたこともおくびにも出さないが、きっと気にしていたのだろう。
幸せになりたかったのだと思う。
僕は彼女を幸せにする自信がなかった。
彼女の一言が僕を結婚から遠ざけた。
「〇〇〇、、」
私は遠距離恋愛を解消しようと、転職を試みていた。
休みを返上して県外に出て、就活をした。
遊んで別れる度に涙ぐみ「寂しい」と泣く彼女を愛しく思い、転職活動をし、転職先の内定が出た時に言われた。
確かに院卒でそんな職に就く人は珍しい。
世間から見たらみんながなりたい仕事でもない。
それがこれから人生を共に進もうとしている相手に向ける言葉なのか?
僕は許せなかった。
このまま彼女となぁ〇〇な関係を続けて旬を過ぎてから捨ててやろうと思った。
それから1年が過ぎた。
彼女は出会った時から変わらず素敵だった。
彼女の言葉は僕を笑わせ
彼女の容姿は誰もが振り向き
彼女との時間は僕だけの物だった。
そして、2人は別れた。
自然と繋がった2人はまた〇〇になった。
話し合いをし、別れた方が幸せだね
と笑顔で〇〇た。
僕は彼女の幸せを願っている。
その辺の女性とは違う、彼女らしさがある。
君が誰かの彼女になりくさっても。
僕は君の笑顔が見ていたいと思うよ。
幸せになってね。
エリマキトカゲさん。
茶髪にスーツ。
高校を卒業したての新入生は顔が違うだけで、皆同じに見えた。
だけど、君は「エリマキトカゲ」だった。
胸元を〇〇にしているフリルはまるでエリマキトカゲ。
僕は今でも〇〇デザインの名前を知らない。
決して羨ましがられる〇〇じゃなかったけど、あなたとの時間はきっと忘れないと思う。
という夢を見たんだ。
長い長い夢だった。
今日はいつもより瞼が重たい。
今日は仲の良い女の後輩と近況報告がてら飲みに行く約束だ。
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